【水耕栽培】水が腐る環境での野菜栽培は……酸素不足に注意せよ!!

家庭菜園における水耕栽培で万が一、水が腐るようなことがあれば……考えただけでも恐ろしいことですが解決策は酸素不足にならないように注意するというのが一番気を付けたいポイントです!!


目次

1.水耕栽培で水が腐ることがあれば、水中の酸素不足を疑ってみる

2.水が腐る前に水中の酸素が不足している環境ではまずうまく育たない


水耕栽培で水が腐ることがあれば、水中の酸素不足を疑ってみる

水耕栽培で用いる水、基本的には液体肥料を溶かした養液のことになりますが、こちらが腐ることはないかという問い合わせをいただくことが最近ありました。

養液はお野菜の生長に伴い、植物に吸収され消費されるため養液をためている部分の液体の分量は少しずつ減っていきます。もちろん養液がなくなってしまうと枯れる恐れがあるため適宜、追肥(不足分の液体肥料をたすこと)して養液不足を防ぐ必要があります。

一般的には上記のとおり、常に養液は時間の経過とともに減っていきますので長時間同じ状態で液体がとどまるということはなく、また常に減った分を追加していく過程で酸素も供給されていきます。

不必要に多めの液体肥料を供給しているといったことがない限り、適切なタイミングで追肥することになり、同時にこの追肥の過程で酸素も供給されることになります。

したがって、適切な栽培方法で水耕栽培に取りくんでいただければ特に水が腐るということはないのではないかと考えます。

こちらの記事に簡単ではありますが水耕栽培の仕組みについて紹介しています。以前から水耕栽培用の専用キットで泡がぷくぷく出てくるようなシステムが装備されているものもあったのですが、特にそのような器具もなくひじょうにシンプル且つ簡単にさまざまなお野菜の栽培が実現できる専用キットについても紹介していますので、ぜひご覧ください。

水耕栽培では水が腐る前にそのような環境ではまずお野菜が元気に育ちません

ここまでは、水耕栽培における水が腐ることを防ぐにはという観点で紹介して参りました。が、実は水耕栽培においては水が腐ることよりも酸素不足によるお野菜など植物の根腐れがコワいのであります。

水耕栽培に限らず水が腐る際には悪臭を放つなど発見にいたる情報に触れる機会があります。しかし、夏場になりどんどん気温も高くなっていくにともない家庭菜園を水耕栽培でとりくんでいる方の中には、お野菜が何だか元気がないなぁと心配されてる方もいらっしゃるかと思います。

水耕栽培に取りくんで間もないころの私がそうだったのですが……当時はお野菜といいますか植物を育てるのが小学校の授業以来だったのでお野菜の栽培方法について記された書籍に目を通しながら光合成って懐かしいなぁ……といった感じで手法を学んでいました。

お野菜など植物の栽培と成長には酸素が必要なのは当たり前というように自分の中で前提はあるのですが、酸素不足に陥らないようにするためにはといった注意が欠けていたのです。

ここで今一度、おやさいの根っこや茎に葉っぱといった植物の構成部分について簡単におさらいをしてみましょう。

お野菜の根っこの部分の仕組みと役割について
  1. お野菜の根っこの部分は一番大事な部分であり、建物の礎のような存在
  2. 根っこから酸素を吸収し、二酸化炭素を排出する。
  3. 根っこから吸収した酸素と光合成で作り出されたでんぷんでエネルギーを作り出し、その力で植物の成長に欠かせない養分や水分を吸い上げる。
お野菜の茎の部分の仕組みと役割について
  1. お野菜の茎の部分は人体における血管のような役割を果たしています。
  2. 根っこから吸収された栄養分や水分を茎を通じて葉っぱや実、花などへ送り届ける役割を果たします。
  3. 光合成により作り出されたでんぷんを根っこに送る役割を果たします。このでんぷんが植物の成長に欠かせないエネルギーの材料の一つです。
お野菜の葉っぱの部分の仕組みと役割について
  1. 葉っぱの部分で光合成をする。根っこから吸収された水と日光と二酸化炭素の力による光合成により植物の成長に不可欠なでんぷんや酸素が作り出される。
  2. 気孔の部分から二酸化炭素を吸収し酸素を排出するなど呼吸をしています。それに光合成に必要な日光のエネルギーを受ける役割もありますので、人間でいうところの皮膚のような役割を担っていると言えるかもしれません。

このようにお野菜の各構成部分の仕組みと役割をかんたんに復習したところで、今回のお話で重要なポイントは根っこの部分が酸素不足にならないように注意が必要だということです。

以下に2枚の写真を添付します。これらの写真は同じ日に種まきを行い、水耕栽培専用キットへ定植するまでは同じ環境で育ててきた品種のミニトマトです。

こちらのミニトマトはいずれも根腐れといった症状はありませんが、よく見ていただくと片方のミニトマトにはすでにトマトの実が確認できるのに片方のミニトマトには未だに実を確認することができません。

こちら上に添付しています画像はミニトマトの根っこの部分に液体を撹拌したり酸素を送り込むための装置がついていない水耕栽培キットで栽培中のものです。そして、以下の写真は水耕栽培専用キットの装置としてぷくぷくと酸素を液体肥料の中へ送り込む器具が装備されています。

それだけが原因で片方は実がなり、片方には実がならないというと断言はできませんし、仮に成長に影響があるとしても酸素を根っこの部分に十分に供給できる方がより生長が促進されているだけかもしれません。

ここで紹介したかったのは、根っこの部分には十分な酸素の量が必要ではないか!?ということです。

特に実のなる野菜は、レタスやほうれん草に小松菜などの葉物の野菜に比べて成長する際にたくさんのエネルギーを必要としますし、その際には十分な酸素も必要になるということだと思います。

繰り返しになりますが、葉物の野菜はさほど気にすることもないと思います。しかし、夏場になるとどうしてもミニトマトやキュウリ、オクラにナスなど実のなる野菜の人気が例年高い傾向にあるので、これらのお野菜を水耕栽培で育ててみようとお考えの方にはぜひ参考にしていただけますと幸いです。